令和2(2020)年度 新政策と予算編成の方針

令和2年度新政策と予算編成の方針

10月1日記者発表
令和2(2020)年度新政策と予算編成の方針

資料(PDF形式1,239キロバイト)(令和元年10月)

1 令和2年度新政策について

本県が抱える課題を解消し、力強い発展を実現するため、以下の5つの視点を重点事項として果敢に取り組む。

■子供を安心して育てる環境を充実する

 子育て世帯の希望を十分かなえることができるよう、全国に比べ手厚い子育て環境をさらに磨き上げる。

・紀州っ子いっぱいサポート等の推進

・保育人材の確保支援と保育所等の整備の促進

・困難を抱える子供たちへの学習環境の整備

■「和歌山」における働き手を確保する

 労働力不足を解消するとともに、誰もが、「都会にない暮らしやすい環境」で余暇等を楽しみ、多様で柔軟な働き方ができる社会をめざす。

・IoT・ロボットの設備導入等による省力化の促進

・高校生や大学生等への県内就職の支援

・「企業同盟」の推進と女性・高齢者等への再就職の支援

・農林水産業における労働力確保の推進

・テレワークやワーケーションの推進

新産業の創出・先端技術の導入を加速化する

 インパクトのある新産業の創出などチャレンジ精神で果敢に実行するとともに、産業を取り巻く劇的変化に対応できるよう、県内産業の新しい発展を実現する。

・小型ロケット射場を核とした誘客促進と宇宙産業の振興

・IR(統合型リゾート)の誘致の実現

・ICT企業の誘致・集積の促進

■県民のいのちとくらしを守る

 何よりも守らなければならないのは「人命」であり、最優先にその対策を実行するとともに、ポイ捨てや不法投棄の抑止を強化することで、日常生活の「くらしやすさ」をさらに高めていく。

・全国トップクラスの防災対策の推進

・プラスチックごみ対策の強化

■地域の魅力を高める

 本県が将来にわたり発展し続けられるよう、全国とつながるネットワークを一層充実し、「ひと」・「もの」の流れを活性化させていく。

・道路ネットワークの早期整備の推進

・人の流れを創る「移住・定住大作戦」の強化

【新政策施策体系】  長期総合計画に掲げる5つの柱で構築する。

  ①ひ  と  を育む                     ②しごと  を創る              ③いのち  を守る        

  ④くらし  やすさを高める       ⑤地  域  を創る

ひとを育む

1.未来を拓く子どもを育てる環境づくり
(1)子供を安心して育てる環境の充実《重点事項》

・紀州っ子いっぱいサポートによる保育料無償化や給食費(副食費)、在宅育児世帯(年15万円)への支援

・修学資金等の貸付や研修・就職相談等による保育人材の確保と保育所等の整備支援を行い、待機児童の解消を促進

・全小学校区への放課後児童クラブ(学童保育)と学習や体験活動を行う場の設置、ひとり親家庭等への訪問型の子育て相談支援を強化(拡充)

・経済的な理由により大学等への進学が困難な学生への進学給付金による支援と子供たちに食事の提供等を行う場の設置を促進

・「女性活躍企業同盟」と「結婚・子育て応援企業同盟」の取組を推進

・子育ての支援制度や子育て応援店舗等をスマートフォン等で検索できるシステムの構築や企業と連携した男性の育児参加を促進《新規》

・SNS等による婚活イベントの情報発信や事前セミナーの開催など結婚支援を強化(拡充)

(2)子どもたち一人一人が志高く未来を創り出す力を育む教育の推進

・本県独自のICT教育や中・高のパソコンクラブで企業と連携した高度なプログラミング教育を実施 

・きのくに学力向上総合戦略による小・中学校での授業改善や補充学習等を実施

・不登校の解消に向けたスクールカウンセラー等による支援やICTを活用した不登校児童生徒への学習支援等を実施

・多忙化解消のための退職教員活用や長期休暇取得の促進等を図り教育現場の働き方を見直し、自主研修の充実など効果的な研修体系の構築による教育力の向上(拡充)

・大規模なフォーラムの開催等によるスマートフォン等への依存予防教育を実施(拡充)

・県立医科大学薬学部(2021年4月開設予定)の開設に向けた取組を推進

2.みんなが活躍できる社会づくり

(1)誰もが働きやすく、多様な人生を楽しめる社会づくり

・場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を可能とするテレワークを促進《新規》

・UIターン希望者や女性・高齢者の再就職を支援する「就活サイクルプロジェクト」を推進

・外国人や義務教育未修了者及び社会人を対象とした「きのくに学びの教室」を開催

・社会参加を希望する高齢者と活用したい団体を登録する「わかやま元気シニア生きがいバンク」の活動を推進

(2)心豊かにすごせる社会づくり

・2021年の「国民文化祭」「全国障害者芸術・文化祭」「全国高等学校総合文化祭」開催に向け、県立近代美術館での大規模展や“おでかけ美術館”を開催

・「ワールドマスターズゲームズ2021 関西」に向けた準備や国内外のナショナルチーム等のキャンプ誘致を推進

(3)人権尊重社会の実現

・インターネット上の人権侵害を防止する啓発等や差別的な書き込みのモニタリングを実施

・外国人や義務教育未修了者及び社会人を対象とした「きのくに学びの教室」を開催【再掲】

しごとを創る

1.「和歌山」における働き手の確保《重点事項》

・人手不足に悩む中小企業の業務省力化を促進するため、業務・生産プロセスの改善、生産性の向上に資するコンサルティングや設備導入等を支援《新規》

・高校生・大学生等の県内就職支援や市町村と連携した全国トップレベルの起業・移住支援を推進

・「女性活躍企業同盟」と「結婚・子育て応援企業同盟」の取組を推進【再掲】

・UIターン希望者や女性・高齢者の再就職を支援する「就活サイクルプロジェクト」を推進【再掲】

・スマート農業フェアや現地研修等を行うスマート農業実践塾を実施(拡充)

・求人サイトによる情報発信など農業の労働力確保を強化《新規》

・農林大学校林業研修部での研修受講者に対する給付金制度について、対象年齢の上限を引き上げる県独自の制度を創設(拡充)

・林業事業体と就業希望者とのマッチングの強化や「次代につなぐ漁村づくり」の支援等により林業・水産業の担い手確保を推進

・場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を可能とするテレワークを促進《新規》【再掲】

・全国に先駆けて提唱したワーケーションを推進するため、ワーケーション自治体協議会の関係企業・団体が参加するイベントやファムツアーを開催(拡充)

2.新産業創出・先端技術導入の加速化《重点事項》

・2021年の小型ロケット初打ち上げに向け、関係機関と連携した観光客の誘客・受入体制の整備や、将来的な宇宙ビジネスの創出・集積をめざした取組を推進(拡充)

・IR(統合型リゾート)の2024年度開業に向け、事業者の選定と区域整備計画を作成

・民間資金を活用したICTオフィス整備を促進し、ICT企業誘致・集積を加速化

3.県内企業の成長力強化

・企業への先端技術に関する専門家派遣や大学と連携したリカレント教育プログラムを提供

・企業間の設備の貸し借りを促進するシェアリングシステムを構築し、機械設備等の有効活用や新たな企業間取引を拡充《新規》

・スタートアップ創出支援チームによる創業・第二創業者の発掘・育成支援とアクセラレーションプログラムによるベンチャー企業の成長加速化を支援

・経済産業省と連携した取引実態の把握や商慣行是正・取引適正化に資する取組を推進し、下請等中小企業における取引条件を改善

・店舗等へのキャッシュレス決済システムの導入を促進

・本県独自のICT教育や中・高のパソコンクラブで企業と連携した高度なプログラミング教育を実施【再掲】

・「和歌山県データ利活用推進センター」を核とした新たな産官学連携による分析・研究やデータサイエンス人材育成を推進

・エネルギー供給源の多様化や低炭素化等に貢献する水素社会を実現するため、県民の理解醸成など水素利活用の拡大に向けた取組を推進《新規》

4.農林水産業の振興

・スマート農業フェアや現地研修等を行うスマート農業実践塾を実施(拡充)【再掲】

・求人サイトによる情報発信など農業の労働力確保を強化《新規》【再掲】

・農林大学校林業研修部での研修受講者に対する給付金制度について、対象年齢の上限を引き上げる県独自の制度を創設(拡充)【再掲】

・林業事業体と就業希望者とのマッチングの強化や「次代につなぐ漁村づくり」の支援等により林業・水産業の担い手確保を推進【再掲】

・県産食材を「美容」という切り口でPRし、販売を促進《新規》

・国内外からの観光客に「フルーツ王国和歌山」をPRする県内主要駅での農家によるマルシェの設置等を支援《新規》

・温州みかんの厳選出荷の継続に加え、新たに加工用果実についても厳選し、高品質果汁の増産や商品開発を促進(拡充)

・日本一の果樹産地づくりに向け、高級百貨店等と連携し、輸出専用産地の育成、戦略品種の改植等や高品質化につながる施設の導入等を総合的に支援

・オランダ農業をモデルとした高度な環境制御システムの導入や災害に強い施設園芸用ハウスの整備等、生産から流通、販売までの取組を総合的に支援

・担い手への農地集約を進めるため、農地中間管理機構が一団農地に含まれる遊休農地をリフォームし、貸付・売渡を行う取組を支援(拡充)

・本県まき網漁業の主要魚種であるマルアジの資源回復等を図るため、AIを活用した漁獲管理システムの導入を支援《新規》

5.観光の振興

・ユネスコ世界ジオパーク認定に向け、「南紀熊野ジオパークセンター」を拠点とした研究・教育活動や地元事業者等と連携した地域活性化の取組を推進(拡充)  

・県立自然公園への誘客を促進するため、SNSを活用した情報発信や案内看板、歩道、防護柵等を整備(拡充)

・「WAKAYAMA8∞」として魅力あるサイクリングの環境整備・情報発信

・「和歌山ほんまもん体験」のインバウンド対応や情報発信を強化(拡充)

・南紀白浜空港の羽田便増便・機材大型化に向けた取組を進めるとともに、国際線ターミナルビルを整備

・大型クルーズ客船に対応した港湾整備の推進と和歌山県クルーズ振興協議会による外航クルーズ客船の誘致活動を実施(拡充)

・店舗等へのキャッシュレス決済システムの導入を促進【再掲】

いのちを守る

1.自然災害への備え《重点事項》
(1)「災害による犠牲者ゼロ」の実現

・津波から逃げ切るための堤防等の強化や避難路・避難施設整備を支援

・住宅の耐震診断から補強設計、改修工事に至るまでの耐震化を総合的に支援

・風水害の被害軽減を図る主要河川の整備や国営総合農地防災事業による対策を実施

・土砂災害警戒区域等の早期指定の推進と特別警戒区域内における既存住宅の安全対策に取り組む市町村を支援

・「和歌山県防災ナビ」アプリにより、気象、河川水位、避難勧告等の防災情報や避難ルート表示等の避難支援情報を提供

(2)発災直後の迅速な救助体制と早期復旧体制の確保

・救助・救援に資するルートの代替性を確保した道路ネットワークを形成するため、高速道路や県内幹線道路、緊急輸送道路の整備を推進

・地震時に建築物倒壊による緊急輸送道路の閉塞を防ぐため、道路沿いの建築物の耐震化を支援《新規》

・災害発生直後に居住地域の災害拠点病院等に参集できる人材を「地域災害支援医師・看護師」として養成《新規》

・「復興計画事前策定の手引き」を活用し、被災後のまちづくりを想定した復興計画の策定に取り組む市町を支援

・県消防学校隣接ヘリポート(広域防災拠点)にドクターヘリの格納庫及びヘリ給油施設を整備《新規》

2.医療の充実と健康の維持

・全県展開した遠隔救急支援システム等による充実した救急医療体制の堅持や遠隔カンファレンスなど遠隔医療を推進

・医師の地域偏在や特定診療科における医師不足等の解消、専攻医を確保するための取組を推進

・「地域医療構想」に基づき、急性期から回復期への病床機能転換など医療機関の機能分化と連携を推進

・県立医科大学薬学部(2021年4月開設予定)の開設に向けた取組を推進【再掲】

・死亡率が高く、検診受診率が低い大腸がんについて、新たに「ナッジ理論」など受診行動につながる勧奨を行う等、個別勧奨や啓発によるがん検診の受診率向上を促進(拡充)

・協力店によるインセンティブ付与の仕組みを設けるなど「健康づくり運動ポイント」事業を強化(拡充)

・SNS等による相談体制や自殺未遂者支援体制の強化など総合的な自殺対策を実施

3.安全な社会の実現

・生活安全警察支援システムにより人身安全関連事案情報等を一元管理し、迅速かつ的確な捜査体制を構築《新規》

・歩道のないトンネルに歩行者用の照明・防護柵を設置し、信号機のない横断歩道の手前に通行車両を減速させる段差舗装・カラー舗装を整備(拡充)

くらしやすさを高める

1.快適な生活環境の実現《重点事項》

・プラスチックごみ対策を推進するため、ポイ捨てを絶対しない・させない運動の実施やサーマルリサイクル等推進シンポジウムの開催に加え、地域や学校とリサイクル事業者とのマッチングによるペットボトル回収システムを構築(拡充)

・不法投棄監視カメラを増設するとともに、警察等関係機関との連携を強化

・県水道ビジョンに基づき、市町村が行う水道施設の老朽化対策や災害対策、並びに広域連携に向けた取組を支援

・将来にわたる汚水処理施設の持続的な事業運営を図るため、汚水処理の広域化をはじめとする効率的な運営に向けた取組を推進《新規》

・合併処理浄化槽の本体設置費や転換に伴う配管設備費、単独処理浄化槽撤去費を助成

・高齢者等の消費者被害を防止するため、地域の見守りネットワーク構築の支援や悪質事案や広域事案への対応能力を強化

2.支え合う福祉の充実

(1)高齢者福祉の推進

・要介護認定者のための施設整備や在宅サービスの充実と高齢者が再び自立した生活を送れるよう「自立支援型ケアマネジメント」を推進

・介護人材の不足を解消するため、介護事業所と外国人介護人材のマッチングの支援と介護に必要な知識や技術を向上させる研修等を実施《新規》

(2)障害者福祉の推進

・県発達障害者支援センター「ポラリス」の相談体制を充実し、紀南地域へ「相談室」を開設するとともに、関係機関と連携した訪問相談を実施(拡充)

(3)困難を抱える家庭等へのきめ細やかな対応と自立支援

・全小学校区への放課後児童クラブ(学童保育)と学習や体験活動を行う場の設置、ひとり親家庭等への訪問型の子育て相談支援を強化(拡充)【再掲】

・経済的な理由により大学等への進学が困難な学生への進学給付金による支援と子供たちに食事の提供等を行う場の設置を促進【再掲】

・ギャンブル等依存症対策基本法を踏まえ、予防、相談、治療及び回復支援のための事業を総合的に実施

・大規模なフォーラムの開催等によるスマートフォン等への依存予防教育を実施(拡充)【再掲】

地域を創る

1.活力と魅力あるまちづくり

(1)個性豊かで暮らしやすい中山間地域づくり《重点事項》

・東京相談窓口にキャリアアドバイザーを配置し、本県の「暮らし」と「仕事」を併せて紹介するなど「移住・定住大作戦」を強化(拡充)

・生活拠点と一体性を保つ周辺の集落で形成する「ふるさと生活圏」単位での人口動態に基づき、地域の維持・活性化への理解を深めるセミナーを開催

(2)賑わいのあるコンパクトな都市づくり

・商業、医療、教育、文化等の都市機能を集約し、まちなか居住へと誘導する再開発等を支援

・空き家の適正管理や活用方法に係る相談体制の充実を図るとともに、一定規模以上の未利用建築物を除却し、跡地の有効活用に取り組む市町村を支援

(3)和歌山が誇る豊かな自然の継承

・ユネスコ世界ジオパーク認定に向け、「南紀熊野ジオパークセンター」を拠点とした研究・教育活動や地元事業者等と連携した地域活性化の取組を推進(拡充)【再掲】

・県立自然公園への誘客を促進するため、SNSを活用した情報発信や案内看板、歩道、防護柵等を整備(拡充)【再掲】

(4)和歌山が誇る文化遺産や景観の保存・保全と活用

・歴史的価値のある建造物を次世代に継承するため、データベース化や所有者の維持管理等を支援する相談窓口の設置を推進

・地域の宝である仏像を盗難被害から護るため、盗難情報のHP公開や防犯装置の設置、複製を実物に代わり奉納する「お身代わり仏像」作成事業を促進(拡充)

・日本遺産「絶景の宝庫 和歌の浦」の価値を高めるため、和歌公園「観海閣」の復元整備を行い、官民協働による歴史まちづくりを促進《新規》

2.地域をつなぐネットワーク《重点事項》

・産業振興など将来のチャンスを保障するため、大阪・関西万博開催までの紀伊半島一周高速道路の完成に向けた整備を推進

・府県間道路や直轄国道の整備を推進するとともに、県内主要都市間をつなぐX軸・川筋ネットワーク道路等の幹線道路網を引き続き強化

・日常生活の利便性向上に資する都市内道路や生活に不可欠な道路、通学路等の歩道を効果的に整備

・自家用車を運転できない高齢者の移動手段を確保するため、地域に適した交通体系の構築等を支援(拡充)

・“まちなか”における自転車や歩行者等の安全な通行空間を確保

・南紀白浜空港の羽田便増便・機材大型化に向けた取組を進めるとともに、国際線ターミナルビルを整備【再掲】

・大型クルーズ客船に対応した港湾整備の推進と和歌山県クルーズ振興協議会による外航クルーズ客船の誘致活動を実施(拡充)【再掲】

2 令和2年度予算編成方針

長期総合計画に掲げる『世界とつながる 愛着ある元気な和歌山』の実現に向けて、令和2年度の新政策を推進するとともに、平成29年3月に策定した「中期行財政経営プラン」を着実に実施するため、スクラップアンドビルドや事務事業の見直しを徹底することとし、既存事業については-5%のシーリングを実施する。

また、投資的経費については、事業効果や緊急性等を精査しつつ、全体としての投資が財政健全化の妨げとならないように努める。

ただし、上記重点政策に沿った事業は、原則としてシーリングを設定しない。 

なお、国の予算編成の動向等を踏まえ、予算編成過程において調整等を行うものとする。

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